知ってお得情報【お仕立寸法について その3】 曖昧さで お任せワード
寸法のお聞きするうえで、よく耳にするキーワードが2つあります。
1つは少し背が高い方からの
「男並み寸法」
も一つは、お茶のお稽古をされている方からの
「前幅広め」
という言葉です。
これまで「男並み寸法」とおっしゃれる方の寸法が一致したことはありませんので
勉強不足かもしれませんが、男並み寸法という寸法があるわけではないと思います。
身丈は男は対丈ですので、裄のことを指しておられる方が多いのですが
「大きめに作っておきます」という意味以外の内容がつかめないので
結局長襦袢とかを測っていただくことになるのですが
たまに「男並みで分かりませんか?」という空気が流れるのに戸惑うことも多いのです。
呉服店さんの「大きめで作っておくのでお任せくださいね」というう意味合いが大きいと思います。
ただ昨今は着物の反物幅も広くなり、ほぼ165㎝近い方に対応できる反物がレギュラーになり
時には170㎝を超える方に対応できるものもございますので
男並みでは片づけず、きちんと採寸していただくことをお勧めいたします。
もう一つのキーワードは、お茶席にてご利用の方から寄せられる
「前幅広めのお仕立でお願いします」という言葉です。
立ち座りの動作があるため、座った時に上前見頃や衽が開いてきて右太ももが見えてしまうと
格好が悪いといううことで、前幅が太ももに被る様に「前幅広めに」というう意味だと思います。
これは間違いではありませんが、少々極端な例も見られるので注意事項をお知らせしようと思います。
身幅を割り出すためには腰回りなどを採寸させて頂くのですが、お持ちの寸法や
割り出した寸法から「1寸広く」おっしゃられる方がいらっしゃいます。
1寸ですと4㎝程度ですので、その位広くすれば太ももが出ることはなくなると思うのですが
ご注意いただきたいのは、着物は左右対称ですので、
上前幅1寸広くすると下前も1寸広くなるといううことですから、
全体で8㎝身幅の広い着物が出来上がってしまうといううことです。
ヒップ90の方が100㎝近いパンツを履くことになります。
着付けの時に巻き込む部分が大きくなり着づらく、また足さばきも悪くなってしまいますので
その点は十分にご承知いただきたいと思います。
まずもって正確な身幅のお着物が、一番動きやすく着やすいのでそこからの前幅後幅のバランスの微調整やほんの数センチ、多くて5分(2㎝、それでも全体で4㎝)までの調整でお考えいただくことが大切だと思います。
それぞれのワードとも、曖昧ながらそれがイメージする意図はなんとなくつかめると思うのですが実態はイメージできない場合が多いと思いますので、今回お伝えすることにいたしました。
なかなかご自身の寸法までお話がたどり着きませんが、もう少しお待ちくださいませ。
次回も寸法のお話をさせて頂きます。