帯 板
名古屋帯が大正末期に考案され、その後八寸帯が昭和の初めに広がりました。
八寸帯はお太鼓の部分を折り返してかがるだけで、帯芯を入れずに仕立てるため胴の周りの帯のしわを取り、張りを持たせるために帯板が考案され 昭和30年ごろ世間に広まったといわれています。(他諸説あり)
それ以前の普段着に着物を着ていた頃は、板を入れることはなかったのです。
帯は 仕立ての際に帯芯を入れて作っています。。(帯地の厚みや個人の好みにより帯芯を使わずに仕立てられる場合もあります)
昨今式典時に着物を着用するようになって、織や刺繍の高級な柄の入った帯をきれいに見せるために 着付けの際に再度帯板というものを入れるようになり徐々に定着したのです。
帯板にはいろんな種類がありますが、用途に合ったもので自分の体系に合ったものを使いましょう。
ほとんどプラスチック製です。
布が張ってあるものは 中が厚紙の場合が多いですがプラスチックの物もあります。布でキルティングしてあるものもあります。
硬さ柔らかさの違い。
縦の長さの違い。
横の長さの違い。
等違いがあります。
帯を胴に巻くときは帯の巾が半分になります。
(帯の巾は約8寸2分(31cm)です。折ると 胴に巻く帯の高さは半分の約4寸(15cm)ほどです。)
ですので 帯板の高さは大抵13cmまでの物がほとんどです。
それ以上高さがあるものは 花嫁さん用などで使用します。
よこの長さは 短いものから長いもの いろいろあります。
羽織など着用することが少なくなったので 横(わきの辺り)まで来るようにながくなってきました。
メッシュの物は夏の暑さ対策から作られたものです。(上画像向かって左端)
後板と呼ばれる よこが短めの物もあります。(上画像向かって右端)
これは 振袖などで変り結びをするときに 背中に巻いた帯をきれいに見せるための板です。
板は全て帯をきれいに見せるためです。が、着用する方の体系に合っているか、また締める帯に必要かを判断して使用しましょう。
昔(昭和半ばごろまで)の帯は今に比べて 糸目がしっかり詰り硬く帯芯も厚みのあるもので仕立て上げている場合が多くありました。このような帯の場合 にさらに硬い張りのある帯板を入れなくても 厚紙が入った帯板などで十分です。
また お太鼓の結びの変り結びの場合 後帯板を入れる必要はありません。
最近の変り結びがしやすい柔らかい帯の場合は、張りのある帯板を入れると効果的です。しかしこの場合も細い方や子供さんなどの場合、 帯板自体に戻ろうとする跳ね返りの力があるので 横が長い帯板の場合や硬い帯板は 着付ける際に、板を入れて体に巻き付けたとき 板が反って 帯との間に隙間ができ 沿わなくなり、結局帯をきつく締める原因にもなります。体のふくよかな方などは、少しの力で板が体に沿うので楽に着ることができます。
子供や身長の低い方は 体の上部がほぼ帯の割合で占めてしまいます。
横隔膜の辺りまで帯と硬い板で締められるのですから 苦しくなるのは当然です。この様な時は 柔らかめの板やメッシュの板 細めの板が良いです。
(自宅で体に合ったものを厚紙で作っても良いです)
「厚紙の物は汗でよれよれになって 帯にしわが寄る」と言われることも有りますが それほど汗をかくこともないでしょうし それほどしわになる帯もないので 大丈夫と思います。
メッシュの板は空気の通りをよくする夏場の物と思いがちですが 体に沿うので、細い方や身長の低い方 また普段楽に着物を着用したい時など大変重宝に使えます。
帯は 単衣の帯や使用者の好み以外は帯芯(綿芯・麻芯・絹芯・不織芯・など)を入れて仕立てます。そこに補足のために再度帯板を使います。
折角後で入れるのであれば 着用する人に合った帯板を選びましょう。