海外仕立て
海外仕立ての持つイメージは 粗悪なイメージがまだまだ強いのではないでしょうか。
「雑」「いい加減」「下手」「汚い」という言葉が頭に浮かぶのでしょう。
安さを求めで国外縫製へ広がっていったのは確かです。実際に日本の仕立工場と比べると劣るところがまだ沢山ある工場も多いかもしれません。
当店では 国内仕立ての他、海外仕立ても多く利用しています。
その出来上がりの着物を見て、粗悪と感じたことは全くありません。
国内での出来上がりと何ら変わりません。
最近では「海外仕立て」を嫌がられるお客様も 随分少なくなっては来ましたが、
やはり良くないイメージが拭えない方もまだいらっしゃいます。
伝える側の私どもも、聞いた話だけではダメなので
この9月に初めて 実際に加工取次店の方と一緒に行ってきました。
工場はベトナムです。
戦後まだ半世紀ほどですが、高層ビルも建ち大変活気があります。
信号のない4車線6車線の交差点を スクランブル状態で
行きかう車と大量のバイク、たまに横断する人には驚きです。
オーナーさんは日本人で 1996年から こちらベトナムで縫製工場を起ち上げられたそうです。現在は130名ほどの方が働いていられるのですが きものを仕立てるピークは7年ほど前で、今は少なくなったとのことでした。
工場は広く、静かで、涼しく、きれいです。
先ず伝票のチェックから 反物の裁断、仕上げの袋詰めまで、工程での要所、要所では「チェック」があり、気になった個所は即確認。(日本の私たちに連絡が入ります。)
サイズも 日本の鯨尺のものさしで 計っていましたし、運針の上手な事!!
こてでアイロンを充てる時は 「きせ」が取れないように また 生地が伸びないように 文鎮を両端に置きその間を少しづつ かけていました。
袷の着物などは きものと裏地の間に糸くずが入らないように常に気を付けていると、言っていました。
プロとして仕事をしているのだから当たり前かもしれませんが、先に述べたように
粗悪なイメージを持たれていた方には 驚きではないでしょうか。
当店 → 加工取次店 → 海外(ベトナム・ホーチミン) 仕立て上がり後
海外(ベトナム・ホーチミン)→ 取次店 →当店 へ戻ってきます。
飛行機の便が決まっているので納期もわかります。
手縫いは勿論すべて手縫いですが ミシン加工も直線のところ(背縫い・脇縫い・衽)以外は手縫いとなります。オールミシンはあり得ません。
商品と一緒に寸法表を送り、サイズ感や柄合わせ、お客様の要望など画像やメール・FAXで連絡を取り合います。
日本の民族衣装ですから 日本人が仕立てて着るのが一番理想ですが、ただ海外にも
こんな工場があるんだと 少しでも分かってもらえると幸いです。
現地に3日間滞在しましたが オーナーさん、現地の社長さん、大変お世話になりました。お仕事中の皆さんも有難うございました。