着物の補正

着物の着付け補正について
美しく着るための土台作りです。
着物の着付け補正は、着物を美しく着こなすための工程です。補正とは、着物を着る際に身体のラインを整えるための技術や工夫のことです。着物は洋服の様に 曲線裁ちでダーツやギャザーが入った立体的な仕立てではありません。平面的でほぼ直線縫いで作られているため、着付けにより身体の形に合わせることで、美しい着物姿となります。
*補正の注意
補正の目的は、上に着る着物(布)が体にフィットし、しわやずれが起こらないようにすることです。これにより、着物のラインがすっきりと見え、洗練された印象を与えることができます。
補正をする場所は、ウエスト(お腹)周り・胸(衿元辺り)です。
同じ身長、同じ体重の方でも 十人十色で体型の凹凸には違いがあります。
薄めのタオルで加減を見ながらその人に合った補正をします。その方に合った
補正具があればそれを使用してもよいとおもいます。
ただこの後 着付けで、襦袢を着用・着物を着用することを忘れてはいけません。
「当たり前の事」「聞くまでもない」と思われがちですが、やたらと補正をしてはいけません。お母様が使っていた補正道具が、お嬢さんに合わない場合もあります。
襦袢や着物が、その人に合ったサイズで仕立てであれば、 細い人には細めに・ふくよかな方には大きめに、その方に合うように仕立ててあるはずです。着用者のサイズでない着物の場合、又はご自分の着物でも体形が大きく変わられた場合 “着物が大きい・小さい、短め・長め”、により補正の量の加減が少し違ってくるでしょう。また、「生地」、例えば、ふくらみのある絞りの着物を着付ける場合と、逆にしっとり感のある柔らかな生地の着付けでも補正は違てくるはずです。
細いからと胴回りにしっかり補正をした後に絞りの着物を着るとなると
その方のウエスト位置は「おはしより」の布分も重なり いつも以上のふくらみが出てしまいます。それに加え身丈が長かったらどうでしょうか。想像がつくと思います。もちろん胸も補正でプラスされているとなると 着付けが完了した姿は 上半身の前が大きく膨らみ、ヒップは小さめ。横から見る立ち姿はアルファベットのD体型。 となってしまいます。
これと同じ補正では浴衣を着用すると涼しげに感じられません。
浴衣はある程度の素肌感があってこその物です。
補正は大事ですが 過剰にならない事です。
誰でも彼でも どんな時でも同じ補正ではありません。
あくまでも、凸凹を滑らかにすること、体の面を補充したり又は抑えたりは最低限ですることです。これから、襦袢・着物の布がくるのですから。
体形を補正する。プラス 着用する着物に添ったものであることも重要です。
補正無しで着付ける場合もあります。
一連の着付けの手順として、唯々同じ順番を間違いなくこなしていくだけの
「まず初めのひと手間」ではないようにしたいものです。